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コラム詳細

離婚相続 - 遺産分割相続 - 遺留分侵害

2020年09月17日

調停に代わる審判とは?

 

 通常,調停において合意が成立する可能性がない場合には,調停は不成立として終了し,審判に移行することになりますが,しばしば,調停において合意が成立する可能性がない場合でも,調停を終了させることなく,調停係属のまま審判をすることがあります。この審判のことを「調停に代わる審判」といいます。

 調停を不成立として終了させるのではなく,調停に代わる審判をすることが相当な場合としては,①当事者が審判を望んでいる場合,②黙示的にせよ審判が出れば尊重することが見込まれる場合,③大筋の合意があるが細部が詰めきれない場合,④当事者の証拠収集活動や調停機関の調査活動による成果を審判という形で残しておいた方がよい場合,⑤当事者の一方が欠席のため調停は進展しないが,実質的な紛争性はなく審判すれば解決する可能性が高い場合などがあります。

 調停に代わる審判は,家庭裁判所が,当事者双方のために衡平に考慮し,一切の事情を考慮して,職権ですることができます(家事事件手続法284条)。

 当事者は,調停に代わる審判に対し,審判の告知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てることができます(286条1項2項,279条2項3項)。

 調停に代わる審判に対し,適法な異議申立てがあると,審判は当然にその効力を失い,家庭裁判所は当事者に対し,その旨を通知します(286条5項)。当事者がこの通知を受けた日から2週間以内に家事調停申立事件について訴えを提起したときは,家事調停申立ての時にその訴えを提起したものとみなされます(286条6項)。また,別表第二に掲げる事項(婚姻費用の分担,養育費,財産分与,親権者の指定,面会交流,遺産分割,寄与分,特別の寄与,年金分割などの事項が含まれます。)について調停に代わる審判が効力を失った場合には,家事調停申立ての時に当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなされ(286条7項),審判に移行することになります。

 調停に代わる審判に対し,2週間以内に異議申立てがないと,この審判は確定し,別表第二に掲げる事項についての審判であれば,確定した家事事件手続法39条の規定による審判と同一の効力を,その余の訴訟事項についての審判であれば,確定判決と同一の効力を有します(287条)。すなわち,離婚の審判であれば,この審判の確定により,当然に離婚の効果が生じることになり,慰謝料の給付を命じる審判であれば,この審判の確定により,債務名義となり強制執行が可能となります(民事執行法22条7項)。もっとも,訴訟事項に関する部分は,執行力のある債務名義と同一の効力(家事事件手続法75条)を有するものではないから,強制執行をするには執行文の付与が必要です(民事執行法25条本文)。

 調停において合意が成立する可能性がない場合には,そのまま調停を不成立として終了させるのではなく,調停に代わる審判を出してもらった方が早期に解決することがあります。早期解決のための一つの選択肢として,調停に代わる審判を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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