2020年09月25日
遺留分侵害額の計算式は,以下のとおりです(民法1046条2項)。
遺留分侵害額=遺留分額-遺留分権利者の特別受益の額-遺留分権利者が遺産分割において取得すべき財産の価額
+遺留分権利者が相続によって負担する債務の額
遺留分額の計算式は,以下のとおりです(1042条,1043条)。
遺留分額=(被相続人が相続開始時に有していた財産の額+贈与財産の額-相続債務の額)×個別的遺留分
民法1046条2項2号は,遺留分侵害額を算定するに当たり,「第九百条から第九百二条まで,第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額」,すなわち,遺留分権利者が具体的相続分に応じて取得すべき財産の価額(ただし,寄与分については考慮しない。)を,遺留分額から控除するものと規定しています。
この規定が新設されたことにより,以下の2点が明確になりました。
①旧法下では,遺産分割が終了していない場合には,特別受益を考慮せず法定相続分に応じて取得すべき財産の価額を遺留分額から控除すべきという考え方もありました。しかし,新法下では,特別受益を考慮した具体的相続分に応じて取得すべき財産の価額を遺留分額から控除すべきことが明確になりました。
②旧法下では,遺産分割が終了している場合には,その遺産分割により実際に取得した財産の価額を遺留分額から控除すべきという考え方もありました。しかし,新法下では,遺産分割が終了している場合でも,その遺産分割の内容にかかわらず,具体的相続分に応じて取得すべき財産の価額を遺留分額から控除すべきことが明確になりました。