MENU

コラム詳細

債権回収

2020年09月25日

遅延損害金の遅延損害金?

 貸金返還債務が期限を徒過するなどして履行遅滞に陥ると,遅延損害金が発生します(民法419条)。遅延損害金の支払債務は,判例・通説によれば,履行遅滞に基づく損害賠償債務と解されており,その損害賠償債務は,期限の定めのない債務と解されています。そうすると,遅延損害金の支払債務は,履行の請求により遅滞に陥り(412条3項),これにより「遅延損害金の遅延損害金」が発生することになりそうです。

 なお,遅延損害金の遅延損害金が発生するというのは,遅延損害金が元本に組み入れられることと同義です。

 ところで,民法405条は,利息の元本組入れについて,「利息の支払が一年分以上延滞した場合において,債権者が催告をしても,債務者がその利息を支払わないときは,債権者は,これを元本に組み入れることができる。」と規定しています。

 そこで,①民法405条のいう「利息」に遅延損害金が含まれるか否か,②含まれるとして,遅延損害金の遅延損害金の発生要件について,民法412条3項に基づき,履行の請求をすればよいのか,それとも,民法405条の要件を満たす必要があるのかの2点が問題となります。

 大審院大正6年3月5日判決・民録23輯411頁は,次のように判示しています。

「此規定(註:民法405条)ハ利息ノ遅延ニ対シ債権者ヲ救済スル為メ特ニ設ケラレタルモノナリ故ニ利息ノ延滞アリタル場合ニ於イテハ債権者ハ特別ノ契約又ハ法律ノ規定アル場合ハ格別ナルモ其利息ニ対スル利息ニ相当スル額ヲ以テ当然ニ生シタル損害ナリトシテ之レカ賠償ヲ受クルコトヲ得サルモノト為ササル可カラス」

 つまり,約定利息の遅延損害金は履行遅滞によって当然に発生するものではなく,履行遅滞によって損害を受けた債権者は民法405条によって救済されるというのです。

 大審院昭和17年2月4日判決・民集21巻107頁は,次のように判示しています。

「同条(註:民法405条)ニ所謂利息中ニハ遅延利息(註:遅延損害金)ヲモ包含スルモノト解スルヲ相当トス」

 つまり,民法405条にいう「利息」には遅延損害金が含まれるというのです。

 以上の大審院判例によれば,遅延損害金の遅延損害金が発生するためには,履行の請求をするだけではなく,民法405条の要件を満たす必要があるということになります。

 すなわち,遅延損害金が発生し,その遅延損害金の支払が1年分以上遅滞した場合には,債権者が催告をし,それでも債務者がその遅延損害金を支払わないときは,債権者は,これを元本に組み入れることができるということになります。

 この点,履行の請求(412条3項)と催告(405条)を別々にしなければならないのかが問題となりますが,期限の定めのない債務について,1回の催告が履行の請求(412条3項)と履行の催告(541条)を兼ねることができる(大審院大正6年6月27日判決・民録23輯1153頁)ことからすれば,1回の催告が履行の請求(412条3項)と催告(405条)を兼ねることができるとも考えられるのではないでしょうか(私見)。

 なお,不法行為に基づく損害賠償債務の履行遅滞により発生した遅延損害金が民法405条にいう「利息」に当たるか否かについては,裁判例がわかれています。

 債務者による遅延損害金の支払が1年分以上遅滞して,お困りの方は,民法405条により,遅延損害金を元本に組み入れることを検討してみてはいかがでしょうか。

お困りごとなど、お気軽にご相談ください。

お電話でのお問合せ・ご予約

TEL:022-398-8457

受付時間9:00~18:00(土日祝休)

メールでのお問合せ・ご予約

お問合せ・ご予約

© 2020 勾当台総合法律事務所